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執筆者の写真協議会 沖縄セーフティネット

【報告】オンライン連続講座「事業がはじまる前と後」

更新日:2021年10月24日

無事、オンライン連続講座が終了しました。

計105名の方と出会い直し、新たに今後の課題を検討することができた3日間。下記、実施報告です。


■実施報告

第壱夜 2021年9月22日(水)18:00-19:30

第弐夜 2021年9月24日(金)18:00-19:30

第参夜 2021年9月28日(火)15:00-16:30

*詳細等、テーマ、講師一覧は下部に記載


参加申込者数:Zoom(13名)、Youtube(80名)の93名

参加者数:申込者、講師・司会(7名)、運営(5名)含む 計105名


■各回・テーマ設計

私たちは、子どもの貧困対策の6年間

何をして/何をしてこなかったのか


2016年1月、沖縄は衝撃的な数字とともに新しい年を迎えました。

 それ以降、沖縄県内において「子どもの貧困」対策は重点施策として、研究者グループによる調査研究や行政主体となる取り組みが進められてきました。他方で、施策の現場においては、NPOがそれぞれの専門性を活かして柔軟に事業を展開し、沖縄県内の「貧困対策」において一定の役割を担ってきました。

 2016年度〜2021年度は、第1次「沖縄県子どもの貧困対策計画」の期間として設定されており、2021年9月現在、第2次計画が検討されています。

 そこで本連続講座は、貧困対策に関連する事業を牽引してきたNPOが、この6年間を振り返りながらそれぞれの社会課題について解説するものです。

 全3回・計6人の講師と、ともにこれまでの6年間、NPOが何をしてきたのか社会課題ごとに解説。各回では、講師の解説のあとに意見交換の時間、全体討論、配信終了後アフタートークを設けています。 イベント概要はこちら:https://hinkyo-study-202109.peatix.com/

 

■視聴者からの感想(一部)

  • 子どももダルク利用者も、本質は同じで、当事者の思いを聞いて持っているポテンシャルを引き出すことが大事なのだなと気づきました。また社会が受け入れるということについて、みんな他人に厳しいんだよなと改めて思いました。たぶん私にもそういうところはあるのですが、アルコールや薬物依存症の人たちに対する思い込みや勝手なネガティブなイメージがわかろうとすることを遮ってしまう。「権利が侵害されていることが子どもの貧困」と同様、ダルクを利用する人たちも多くの権利が侵害されていると気づきました。「ポジティブ・ディシプリン」という言葉、初めて聞きました。知れてよかったです。個人的には、沖縄の“基地”関連や“政治”関連ではないテーマでの対話の場に初めて出て、沖縄の社会を知るきっかけにすごくなりました。あと2回もたのしみにしています。

  • 漂流支援という言葉はおもしろいですね。すぐそこにあること、少し先にあることのお話でした。こうした話が普通に出るようにしたいですね。

  • 所得の再分配。様々なこどもの権利。知らなかったことが多いのでもっと勉強しなくては、と思いました。

  • 薬物依存からの回復支援が社会に乏しいことは、改善すべき課題と思った。

  • ダルクの佐藤さんの話で、依存症の方の常識が違いすぎて理解が難しいという話や、本人たちの努力や人間性でかたずけてはいけないという話には、ハッとさせられました。依存症と闘う人たちのバックボーンにあるエピソードを、じっくり聞いてみたいと思いました。短い時間でしたが、横江さんと佐藤さんの話は、今後掘り下げたいと思うポイントがいくつもあり、とても有意義でした。ありがとうございました。司会の平良さんも素晴らしかったです。

  • 依存症に対する社会側のスティグマが強く、社会側が当事者を受け入れる環境が整っていないことで、当事者側のスティグマも増長させていることがわかった。私が働いている仕事の界隈では子どものことについてはクローズアップされることが多く、よく見聴きしていたが、依存症問題の話を聞くことはあまりなかった。依存症問題から社会側の受け入れ体制の問題、依存症へのスティグマ、当事者の被虐待ケースの多さ等を知れて、新たな視点を得ることができた。

  • 小さなところからも課題を見つけ、一つ一つ解決しながらそれを広げていくお二人の取り組みは非常に興味深く聞かせていただきました。

  • 自尊感情は、支援側があげようとしなくていい。体験の大切さ。奨学金は一律支給でなく、子どもと話し合って必要な額を決めているところ。

  • 「子ども食堂」がなぜ必要とされたのか、最初の一歩としてどんな取り組みを行ってきたのかが理解できました。子どもの貧困は課題なのか、という問いも印象に残りました。今回の勉強会(連続講座)も、助成事業を「検証」する意味で重要な意味があると思います。


 

■講義終了後の講師からのコメント


にじのはしファンドを立ち上げて10年になる。

 始めた当初は、社会的養護の子どもたちの大学や専門学校への進学を経済的に応援する制度はなく、施設の先生から怪しまれるくらい、私たちの活動は全国的にも珍しかった。子どもたちと出会い、応援をする中で、県内の大学や自動車学校が授業料免除を始めたり、民間企業が寄付をしたり、また県も団体を立ち上げて給付型奨学金を提供できるようになった。 

 しかし、一方で残念ながら学校を中退する子も出てきた。そして、彼らの状況を把握するにつれ、施設を卒業後も困ったと言える相談窓口が十分でないことにも気づいた。元施設の先生と一緒に、彼らが安心して相談出来る場所を作りたいと思い、毎週金曜日に食事会を開き、実家のような居場所を目指した。さらに県にアプローチして、生活や就労の相談窓口事業を受託することができた。現在は給付型奨学金と居場所に加え、相談窓口での情報提供、関係機関と連携した支援の橋渡しや、役所・病院等の同行支援を行っている。

 ここ数年で公的な奨学金制度が整い、以前から少し行っていたグレーゾーンの子どもたちへ対象者を広げる試みや、また新たな課題としてアパートを賃貸する場合の保証人問題も見えている。

 今回の振り返りを通して、これまでの活動の流れが整理できてとても有意義だった。また見えてきた課題についても、様々な方々と議論を深めたいと思う。

ありがとうございました。


NPO法人にじのはしファンド 代表理事

糸数 未希 氏



「人権や子どもの権利のこと、何となく聞いたことあるけど、ちゃんと考えたことない。」

 そんな方が多いだろうと思います。今回の講義では、このような方を念頭に、人権や子どもの権利がどのようなものかという基本的な理解、子どもの貧困との関係やそこから導かれる今後の対策についてお話させていただきました。非常に限られた時間であったため、十分に説明できなかった部分がありますが、大切な要素は伝えられたかと思います。

 ディスカッションの中で、体罰禁止や校則との関わりの話が出たように、子どもの権利の問題は、家庭内のしつけや教育のあり方と密接に結びつく身近な問題です。

 それぞれの子どもが、それぞれ成長発達するために、いろんな権利を持っており、それら一つ一つを可能な限りで保障するという意識が大切だと思います。子どもの貧困に限らず、子どもの権利という広い視点で継続的恒常的な子ども支援を行っていくべきだと考えています。

 今後も、このような機会を通じ、多くの方に、子どもの権利の重要性の話を届けていきたいと思います。



美ら島法律事務所 弁護士

横江 崇 氏



今回は人権というテーマで、依存症とスティグマの関連性に関してお話しさせて頂きました。スティグマのような話題は、重たい内容になってしまいますが、依存症の本質を理解するには必要不可欠なことです。15分という時間で話すには、深く掘り下げるようなお話ができず申し訳なく思いますが、参加者や視聴者からの質問の内容に手答えを感じました。

 予想を上回る質問の多さに、依存症が身近な問題として潜んでいることを改めて実感する機会になりました。中でも『依存症という病を理解していても、実際の場面で支援することは難しい』という質問は、依存症を単に頭の中だけの理解に留まらず、人として関わろうとしている姿勢が現れている結果であると思います。

 ひと昔前は『更生が必要では?』『意志を強く持てば克服できるのでは?』という質問が

多い傾向にありましたが、皆さんからの質問には理解しようという姿勢から生まれた疑問が感じられました。次回に機会を頂けるのであれば、希望についてお話ししたいと思います。

 依存症はネガティブな病だと思われがちですが、一度人生の『底』を見た人たちが、開かれていく展開には、多くの希望が含まれています。

今回ご参加頂き、ありがとうございました。



一般社団法人 沖縄ダルク 精神保健福祉士

佐藤 和哉 氏


 

■動画アーカイブ

各講師の動画のみ観ることが出来ます。


第壱夜 2021年9月22日(水)18:00-19:30

テーマ:「人権」から考える

 横江 崇 氏(美ら島法律事務所 弁護士、NPO法人子どもシェルターおきなわ 理事長)

 佐藤 和哉 氏(一般社団法人沖縄ダルク 施設長、精神保健福祉士)


第弐夜 2021年9月24日(金)18:00-19:30

テーマ:「子どもの貧困対策」前後の事業展開と拡大

 金城 隆一 氏(特定非営利活動法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい 代表理事)

 糸数 未希 氏(NPO法人にじのはしファンド 代表理事)


第参夜 2021年9月28日(火)15:00-16:30

テーマ:政策/制度の転換期に事業を仕掛けた当時の意図と現在

 鈴木 友一郎 氏(ももやま子ども食堂)

 小阪 亘 氏(公益財団法人みらいファンド沖縄 代表理事)


前説 3夜連続

○第壱夜・前説 本企画の時間軸、大枠について ○第弐夜・前説 テーマ「事業展開」に2つの団体を選んだ理由

○第参夜・前説 第弐夜までの振り返りと本日の見どころ・意義  司会:平良斗星(公益財団法人みらいファンド沖縄 代表理事)  D:ダイモンのあっちゃん(糸数温子:一般社団法人daimon ファウンダー)

※質疑応答を含んだLIVE配信URLは、お申込み頂いた皆さまに個別でご連絡しております。メールが届いていないという方はご連絡下さい。


■メディア掲載

・琉球新報,2021年9月23日,「貧困は子どもの権利侵害 県施策を議論 沖縄セーフティネット協が連続講座」 (https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1396791.html)


・沖縄タイムス、2021年10月7日(木)

[未来支える]沖縄発 子の貧困対策講座(上)

子どもの貧困の背景に親の低賃金 是正へ恒常的な支援が必要 官民の取り組みを振り返る


・沖縄タイムス、2021年10月12日(火)

[未来支える]沖縄発 子の貧困対策講座(下)

子ども食堂 地域の「ハブ」に 民間と行政、政策と役割の分担 議論へ


・沖縄タイムス、2021年10月13日(水)

[未来支える]沖縄発 子の貧困対策講座(下)

子ども食堂 地域の「ハブ」に 民間と行政、政策と役割の分担 議論へ


・琉球新報、10月18日(月) 「貧困が子どもの権利侵害 支援者らが現状や課題報告 セーフティネットがオンライン勉強会」 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1409415.html


・琉球新報、10月19日(火)子どもの夢を応援するには?支援で大切なこと セーフティネットがオンライン勉強会 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1409965.html

 

講師をしてくれた皆さま、意見交換にご参加頂いた皆さま、ご視聴頂いた皆さま、 裏方をしてくれた「ちゅらゆい」の若者たち、 ありがとうございました。

またSeason2でお会いしましょう!


■チャンネル登録はこちらから!登録も宜しくおねがいします。 https://www.youtube.com/user/daimonCUP/ )

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